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肩関節について

お久しぶりです

筋トレ好きな理学療法士の優史です

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肩関節の機能解剖学的特徴からみた理学療法実践

今回はメディカルプレスから出版されている 理学療法 2020/2 【関節の機能解剖学的特性からみた理学療法実践 上肢編】より

 はじめに

肩関節障害は外傷や整形外科疾患、スポーツ障害のみならず内科疾患術後にも併発することもある

どの疾患に対しても、病態や痛みの出現する機序を把握する必要があり、その機序を把握するためには肩関節の機能解剖学的特徴および生体力学的特徴を知り、理学療法を展開していく

機能解剖学的特性

肩関節の中心となる、肩甲上腕関節は球関節

上腕骨頭を受ける浅い皿の肩甲骨関節窩があり、極めて面積が小さいため、補強するように関節窩縁に関節唇が存在する

また、関節上方には烏口肩峰アーチ、関節包靭帯および腱板が存在する補強はされているものの、上腕骨頭が関節唇から外れやすい構造になっており肩甲上腕関節は人体の中で最も脱臼しやすい関節だが、上方には烏口肩峰アーチが存在しているため上方へは脱臼しない

 次に腱板について、上腕骨頭と烏口肩峰アーチの間に存在し上腕骨頭の上方変位により圧迫を受けやすく、動作時に摩擦を生じさせないように肩峰下滑液包が存在し、機能異常により上腕骨頭からの圧迫が強くなると腱板と一緒に大きなストレスを受け、痛みが生じることがありこのことを肩峰下インピンジメントという

 また、関節運動は関節包や靭帯、拮抗筋の緊張によって制動され、運動の支点となる関節面に強い圧迫が加わる

面積の小さな肩甲骨関節窩は関節唇まで巻き込まれる 肩甲上腕関節は可動域が大きく、関節包や腱板関節面が関節内まで入り込み、関節唇と一緒に挟まれてしまうことを関節内インピンジメントという

 肩関節運動は肩甲上腕関節が中心であり、不足分は肩甲骨の動きによって補われる

肩甲骨運動は肩甲骨が結合する鎖骨の動きによるところが大きく、胸鎖関節を支点としたもの また、肩甲骨は鎖骨にぶら下がった形になり肩鎖関節でさらに可動性を補っている

 肩甲骨は肩甲胸郭関節として胸郭と広く接することで安定を保たれるが、胸郭の動きも肩甲骨の動きに寄与する

このように肩関節は複数の部位構造によって肩甲骨の可動性および安定性が担保されているという特徴がある

肩関節障害の病態の評価

肩関節の症状を訴えない健常者でも、構造異常や非対称性が認められることがあり、それに対し治療すべき内容か否かを判断しなくてはいけない 肩関節の運動から病態を把握し問題点を抽出していく 今回は肩峰下インピンジメントとについて進めていく

〇肩峰下インピンジメント                            【疼痛誘発検査】烏口肩峰アーチと肩峰下組織の接触圧は外転、水平外転、肩甲骨挙上90°位での内旋などで高まりやすい                        水平外転運動では最終域で接触圧が最大になるのに対し、外転、挙上位内旋では中間位で最大接触圧になるため、外転では90°前後で痛みが生じ運動が止まるか、中間域で生じるpainful arc(有痛弧が認められた場合、肩峰下インピンジメントによる痛みが疑われる                                          また、屈曲90°で内旋させて痛みを誘発させるHawkins impingement testや肩甲骨を上方から抑え内旋位で最大屈曲させるNeer impingment testなどで痛みが生じたら肩峰下インピンジメントと考えるのが妥当(最大屈曲位では肩峰下と腱板の接触ではなく関節窩との接触が生じるためニールテストでは屈曲中間域で痛みが生じる)

【視診・触診】肩峰下インピンジメントとが疑われる場合、大結節の腱板付着部や結節間溝だけでなく、小結節の肩甲下筋腱付着部を触診し、圧痛を確認する(外転では大結節、屈曲では小結節が接触しやすい)                          肩関節の外転や屈曲、水平内・外転では筋収縮がなくても上腕骨の軸回旋が伴い、外転、屈曲、水平内転では外旋を伴い、水平外転では内旋を伴う             挙上の際に上腕骨の内側・外側上顆を触診しながら回旋し痛みの有無を確認する     また、上腕骨頭が上方変位すると肩峰下インピンジメントが生じやすくなる       上腕骨頭の上方変位が認められる場合、腱板筋群の収縮の有無を触診する      腱板筋群のうち棘下筋、小円筋、肩甲下筋は上腕骨頭を下方に引く作用があり、肩甲下筋は前方変位を抑制し、棘下筋、小円筋は後方変位を抑制する              棘下筋、小円筋が過剰に収縮している状態で屈曲や水平外転を行うと、上腕骨頭は前方へ変位しやすい

【画像検査】単純X線画像では上腕骨頭の上方変位と肩峰下腔の狭小化が確認でき、超音波画像やMRI画像では腱板断裂が生じているかの確認ができる

臨床推論の組み立て方

肩関節疾患の患者のほとんどは痛みを主訴として病院を受診するためどの運動で生じるかを判断する必要がある

〇肩甲下インピンジメント                            肩峰下の接触圧が最大の肢位で痛みが出現する場合肩峰下インピンジメントと考えるが、それ以外の肢位で痛みが出現する場合は、関節内インピンジメントが考えられる   肩峰下インピンジメントは、関節拘縮による不適切な上腕骨頭の変位が原因か筋機能低下が原因かを評価する必要がある 肩峰下の接触圧が高まる運動に関節可動域制限がなく痛みだけが生じる場合は、関節拘縮ではなく、筋機能低下が原因と考えられる

理学療法アプローチ方法

〇肩峰下インピンジメントに理学療法対するアプローチ

まず初めに、関節拘縮を認める場合は最優先に拘縮の改善を行う

制限のある肩関節運動の拮抗筋のリラクゼーションや拘縮組織の伸張など

次に、筋機能障害が問題としたときは、損傷のない腱板筋群の筋力強化を行う

この時、肩甲骨の運動が代償と出やすいため低負荷の抵抗運動から始める

 

さいごに

肩関節障害は運動している人やしていない人でも起こりうる障害なので、しっかりと痛みの訴えや症状など情報収集行うことにより、適切な理学療法を提供していきましょう

参考文献

メディカルプレス出版

理学療法 第37巻第2号

理学療法 第37巻第2号

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